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春休みヤバイ!

 投稿者:大輔メール  投稿日:2009年 2月24日(火)12時33分40秒
返信・引用
  馬鹿女の巣ですよここは↓

http://nhwosqda.uunyan.com/g/

 
 

(無題)

 投稿者:匿名希望  投稿日:2008年 6月25日(水)20時51分59秒
返信・引用
  走れメロス
太宰治



 メロスは激怒したっ・・・・! 必ず、かの邪智暴虐(じゃちぼうぎゃく)の王を除かなければならぬと決意したっ・・・・! メロスには政治がわからぬっ・・・・! メロスは、村の牧人であるっ・・・・! 笛を吹き、羊と遊んで暮して来たっ・・・・! けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であったっ・・・・! きょう未明メロスは村を出発し、野を越え山越え、十里はなれた此(こ)のシラクスの市にやって来たっ・・・・! メロスには父も、母も無いっ・・・・! 女房も無いっ・・・・! 十六の、内気な妹と二人暮しだっ・・・・! この妹は、村の或る律気な一牧人を、近々、花婿(はなむこ)として迎える事になっていたっ・・・・! 結婚式も間近かなのであるっ・・・・! メロスは、それゆえ、花嫁の衣裳やら祝宴の御馳走やらを買いに、はるばる市にやって来たのだっ・・・・! 先ず、その品々を買い集め、それから都の大路をぶらぶら歩いたっ・・・・! メロスには竹馬の友があったっ・・・・! セリヌンティウスであるっ・・・・! 今は此のシラクスの市で、石工をしているっ・・・・! その友を、これから訪ねてみるつもりなのだっ・・・・! 久しく逢わなかったのだから、訪ねて行くのが楽しみであるっ・・・・! 歩いているうちにメロスは、まちの様子を怪しく思ったっ・・・・! ひっそりしているっ・・・・! もう既に日も落ちて、まちの暗いのは当りまえだが、けれども、なんだか、夜のせいばかりでは無く、市全体が、やけに寂しいっ・・・・! のんきなメロスも、だんだん不安になって来たっ・・・・! 路で逢った若い衆をつかまえて、何かあったのか、二年まえに此の市に来たときは、夜でも皆が歌をうたって、まちは賑やかであった筈(はず)だが、と質問したっ・・・・! 若い衆は、首を振って答えなかったっ・・・・! しばらく歩いて老爺(ろうや)に逢い、こんどはもっと、語勢を強くして質問したっ・・・・! 老爺は答えなかったっ・・・・! メロスは両手で老爺のからだをゆすぶって質問を重ねたっ・・・・! 老爺は、あたりをはばかる低声で、わずか答えたっ・・・・!
「王様は、人を殺しますっ・・・・! 」
「なぜ殺すのだっ・・・・! 」
「悪心を抱いている、というのですが、誰もそんな、悪心を持っては居りませぬっ・・・・! 」
「たくさんの人を殺したのかっ・・・・! 」
「はい、はじめは王様の妹婿さまをっ・・・・! それから、御自身のお世嗣(よつぎ)をっ・・・・! それから、妹さまをっ・・・・! それから、妹さまの御子さまをっ・・・・! それから、皇后さまをっ・・・・! それから、賢臣のアレキス様をっ・・・・! 」
「おどろいたっ・・・・! 国王は乱心かっ・・・・! 」
「いいえ、乱心ではございませぬっ・・・・! 人を、信ずる事が出来ぬ、というのですっ・・・・! このごろは、臣下の心をも、お疑いになり、少しく派手な暮しをしている者には、人質ひとりずつ差し出すことを命じて居りますっ・・・・! 御命令を拒めば十字架にかけられて、殺されますっ・・・・! きょうは、六人殺されましたっ・・・・! 」
 聞いて、メロスは激怒したっ・・・・! 「呆(あき)れた王だっ・・・・! 生かして置けぬっ・・・・! 」
 メロスは、単純な男であったっ・・・・! 買い物を、背負ったままで、のそのそ王城にはいって行ったっ・・・・! たちまち彼は、巡邏(じゅんら)の警吏に捕縛されたっ・・・・! 調べられて、メロスの懐中からは短剣が出て来たので、騒ぎが大きくなってしまったっ・・・・! メロスは、王の前に引き出されたっ・・・・!
「この短刀で何をするつもりであったかっ・・・・! 言え!」暴君ディオニスは静かに、けれども威厳を以(もっ)て問いつめたっ・・・・! その王の顔は蒼白(そうはく)で、眉間(みけん)の皺(しわ)は、刻み込まれたように深かったっ・・・・!
「市を暴君の手から救うのだっ・・・・! 」とメロスは悪びれずに答えたっ・・・・!
「おまえがか?」王は、憫笑(びんしょう)したっ・・・・! 「仕方の無いやつじゃっ・・・・! おまえには、わしの孤独がわからぬっ・・・・! 」
「言うな!」とメロスは、いきり立って反駁(はんばく)したっ・・・・! 「人の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳だっ・・・・! 王は、民の忠誠をさえ疑って居られるっ・・・・! 」
「疑うのが、正当の心構えなのだと、わしに教えてくれたのは、おまえたちだっ・・・・! 人の心は、あてにならないっ・・・・! 人間は、もともと私慾のかたまりさっ・・・・! 信じては、ならぬっ・・・・! 」暴君は落着いて呟(つぶや)き、ほっと溜息(ためいき)をついたっ・・・・! 「わしだって、平和を望んでいるのだがっ・・・・! 」
「なんの為の平和だっ・・・・! 自分の地位を守る為かっ・・・・! 」こんどはメロスが嘲笑したっ・・・・! 「罪の無い人を殺して、何が平和だっ・・・・! 」
「だまれ、下賤(げせん)の者っ・・・・! 」王は、さっと顔を挙げて報いたっ・・・・! 「口では、どんな清らかな事でも言えるっ・・・・! わしには、人の腹綿の奥底が見え透いてならぬっ・・・・! おまえだって、いまに、磔(はりつけ)になってから、泣いて詫(わ)びたって聞かぬぞっ・・・・! 」
「ああ、王は悧巧(りこう)だっ・・・・! 自惚(うぬぼ)れているがよいっ・・・・! 私は、ちゃんと死ぬる覚悟で居るのにっ・・・・! 命乞いなど決してしないっ・・・・! ただ、――」と言いかけて、メロスは足もとに視線を落し瞬時ためらい、「ただ、私に情をかけたいつもりなら、処刑までに三日間の日限を与えて下さいっ・・・・! たった一人の妹に、亭主を持たせてやりたいのですっ・・・・! 三日のうちに、私は村で結婚式を挙げさせ、必ず、ここへ帰って来ますっ・・・・! 」
「ばかなっ・・・・! 」と暴君は、嗄(しわが)れた声で低く笑ったっ・・・・! 「とんでもない嘘(うそ)を言うわいっ・・・・! 逃がした小鳥が帰って来るというのかっ・・・・! 」
「そうですっ・・・・! 帰って来るのですっ・・・・! 」メロスは必死で言い張ったっ・・・・! 「私は約束を守りますっ・・・・! 私を、三日間だけ許して下さいっ・・・・! 妹が、私の帰りを待っているのだっ・・・・! そんなに私を信じられないならば、よろしい、この市にセリヌンティウスという石工がいますっ・・・・! 私の無二の友人だっ・・・・! あれを、人質としてここに置いて行こうっ・・・・! 私が逃げてしまって、三日目の日暮まで、ここに帰って来なかったら、あの友人を絞め殺して下さいっ・・・・! たのむ、そうして下さいっ・・・・! 」
 それを聞いて王は、残虐な気持で、そっと北叟笑(ほくそえ)んだっ・・・・! 生意気なことを言うわいっ・・・・! どうせ帰って来ないにきまっているっ・・・・! この嘘つきに騙(だま)された振りして、放してやるのも面白いっ・・・・! そうして身代りの男を、三日目に殺してやるのも気味がいいっ・・・・! 人は、これだから信じられぬと、わしは悲しい顔して、その身代りの男を磔刑に処してやるのだっ・・・・! 世の中の、正直者とかいう奴輩(やつばら)にうんと見せつけてやりたいものさっ・・・・!
「願いを、聞いたっ・・・・! その身代りを呼ぶがよいっ・・・・! 三日目には日没までに帰って来いっ・・・・! おくれたら、その身代りを、きっと殺すぞっ・・・・! ちょっとおくれて来るがいいっ・・・・! おまえの罪は、永遠にゆるしてやろうぞっ・・・・! 」
「なに、何をおっしゃるっ・・・・! 」
「ははっ・・・・! いのちが大事だったら、おくれて来いっ・・・・! おまえの心は、わかっているぞっ・・・・! 」
 メロスは口惜しく、地団駄(じだんだ)踏んだっ・・・・! ものも言いたくなくなったっ・・・・!
 竹馬の友、セリヌンティウスは、深夜、王城に召されたっ・・・・! 暴君ディオニスの面前で、佳(よ)き友と佳き友は、二年ぶりで相逢うたっ・・・・! メロスは、友に一切の事情を語ったっ・・・・! セリヌンティウスは無言で首肯(うなず)き、メロスをひしと抱きしめたっ・・・・! 友と友の間は、それでよかったっ・・・・! セリヌンティウスは、縄打たれたっ・・・・! メロスは、すぐに出発したっ・・・・! 初夏、満天の星であるっ・・・・!
 メロスはその夜、一睡もせず十里の路を急ぎに急いで、村へ到着したのは、翌(あく)る日の午前、陽は既に高く昇って、村人たちは野に出て仕事をはじめていたっ・・・・! メロスの十六の妹も、きょうは兄の代りに羊群の番をしていたっ・・・・! よろめいて歩いて来る兄の、疲労困憊(こんぱい)の姿を見つけて驚いたっ・・・・! そうして、うるさく兄に質問を浴びせたっ・・・・!
「なんでも無いっ・・・・! 」メロスは無理に笑おうと努めたっ・・・・! 「市に用事を残して来たっ・・・・! またすぐ市に行かなければならぬっ・・・・! あす、おまえの結婚式を挙げるっ・・・・! 早いほうがよかろうっ・・・・! 」
 妹は頬をあからめたっ・・・・!
「うれしいかっ・・・・! 綺麗(きれい)な衣裳も買って来たっ・・・・! さあ、これから行って、村の人たちに知らせて来いっ・・・・! 結婚式は、あすだとっ・・・・! 」
 メロスは、また、よろよろと歩き出し、家へ帰って神々の祭壇を飾り、祝宴の席を調え、間もなく床に倒れ伏し、呼吸もせぬくらいの深い眠りに落ちてしまったっ・・・・!
 眼が覚めたのは夜だったっ・・・・! メロスは起きてすぐ、花婿の家を訪れたっ・・・・! そうして、少し事情があるから、結婚式を明日にしてくれ、と頼んだっ・・・・! 婿の牧人は驚き、それはいけない、こちらには未だ何の仕度も出来ていない、葡萄(ぶどう)の季節まで待ってくれ、と答えたっ・・・・! メロスは、待つことは出来ぬ、どうか明日にしてくれ給え、と更に押してたのんだっ・・・・! 婿の牧人も頑強であったっ・・・・! なかなか承諾してくれないっ・・・・! 夜明けまで議論をつづけて、やっと、どうにか婿をなだめ、すかして、説き伏せたっ・・・・! 結婚式は、真昼に行われたっ・・・・! 新郎新婦の、神々への宣誓が済んだころ、黒雲が空を覆い、ぽつりぽつり雨が降り出し、やがて車軸を流すような大雨となったっ・・・・! 祝宴に列席していた村人たちは、何か不吉なものを感じたが、それでも、めいめい気持を引きたて、狭い家の中で、むんむん蒸し暑いのも怺(こら)え、陽気に歌をうたい、手を拍(う)ったっ・・・・! メロスも、満面に喜色を湛(たた)え、しばらくは、王とのあの約束をさえ忘れていたっ・・・・! 祝宴は、夜に入っていよいよ乱れ華やかになり、人々は、外の豪雨を全く気にしなくなったっ・・・・! メロスは、一生このままここにいたい、と思ったっ・・・・! この佳い人たちと生涯暮して行きたいと願ったが、いまは、自分のからだで、自分のものでは無いっ・・・・! ままならぬ事であるっ・・・・! メロスは、わが身に鞭打ち、ついに出発を決意したっ・・・・! あすの日没までには、まだ十分の時が在るっ・・・・! ちょっと一眠りして、それからすぐに出発しよう、と考えたっ・・・・! その頃には、雨も小降りになっていようっ・・・・! 少しでも永くこの家に愚図愚図とどまっていたかったっ・・・・! メロスほどの男にも、やはり未練の情というものは在るっ・・・・! 今宵呆然、歓喜に酔っているらしい花嫁に近寄り、
「おめでとうっ・・・・! 私は疲れてしまったから、ちょっとご免こうむって眠りたいっ・・・・! 眼が覚めたら、すぐに市に出かけるっ・・・・! 大切な用事があるのだっ・・・・! 私がいなくても、もうおまえには優しい亭主があるのだから、決して寂しい事は無いっ・・・・! おまえの兄の、一ばんきらいなものは、人を疑う事と、それから、嘘をつく事だっ・・・・! おまえも、それは、知っているねっ・・・・! 亭主との間に、どんな秘密でも作ってはならぬっ・・・・! おまえに言いたいのは、それだけだっ・・・・! おまえの兄は、たぶん偉い男なのだから、おまえもその誇りを持っていろっ・・・・! 」
 花嫁は、夢見心地で首肯(うなず)いたっ・・・・! メロスは、それから花婿の肩をたたいて、
「仕度の無いのはお互さまさっ・・・・! 私の家にも、宝といっては、妹と羊だけだっ・・・・! 他には、何も無いっ・・・・! 全部あげようっ・・・・! もう一つ、メロスの弟になったことを誇ってくれっ・・・・! 」
 花婿は揉(も)み手して、てれていたっ・・・・! メロスは笑って村人たちにも会釈(えしゃく)して、宴席から立ち去り、羊小屋にもぐり込んで、死んだように深く眠ったっ・・・・!
 眼が覚めたのは翌る日の薄明の頃であるっ・・・・! メロスは跳ね起き、南無三、寝過したか、いや、まだまだ大丈夫、これからすぐに出発すれば、約束の刻限までには十分間に合うっ・・・・! きょうは是非とも、あの王に、人の信実の存するところを見せてやろうっ・・・・! そうして笑って磔の台に上ってやるっ・・・・! メロスは、悠々と身仕度をはじめたっ・・・・! 雨も、いくぶん小降りになっている様子であるっ・・・・! 身仕度は出来たっ・・・・! さて、メロスは、ぶるんと両腕を大きく振って、雨中、矢の如く走り出たっ・・・・!
 私は、今宵、殺されるっ・・・・! 殺される為に走るのだっ・・・・! 身代りの友を救う為に走るのだっ・・・・! 王の奸佞(かんねい)邪智を打ち破る為に走るのだっ・・・・! 走らなければならぬっ・・・・! そうして、私は殺されるっ・・・・! 若い時から名誉を守れっ・・・・! さらば、ふるさとっ・・・・! 若いメロスは、つらかったっ・・・・! 幾度か、立ちどまりそうになったっ・・・・! えい、えいと大声挙げて自身を叱りながら走ったっ・・・・! 村を出て、野を横切り、森をくぐり抜け、隣村に着いた頃には、雨も止(や)み、日は高く昇って、そろそろ暑くなって来たっ・・・・! メロスは額(ひたい)の汗をこぶしで払い、ここまで来れば大丈夫、もはや故郷への未練は無いっ・・・・! 妹たちは、きっと佳い夫婦になるだろうっ・・・・! 私には、いま、なんの気がかりも無い筈だっ・・・・! まっすぐに王城に行き着けば、それでよいのだっ・・・・! そんなに急ぐ必要も無いっ・・・・! ゆっくり歩こう、と持ちまえの呑気(のんき)さを取り返し、好きな小歌をいい声で歌い出したっ・・・・! ぶらぶら歩いて二里行き三里行き、そろそろ全里程の半ばに到達した頃、降って湧(わ)いた災難、メロスの足は、はたと、とまったっ・・・・! 見よ、前方の川をっ・・・・! きのうの豪雨で山の水源地は氾濫(はんらん)し、濁流滔々(とうとう)と下流に集り、猛勢一挙に橋を破壊し、どうどうと響きをあげる激流が、木葉微塵(こっぱみじん)に橋桁(はしげた)を跳ね飛ばしていたっ・・・・! 彼は茫然と、立ちすくんだっ・・・・! あちこちと眺めまわし、また、声を限りに呼びたててみたが、繋舟(けいしゅう)は残らず浪に浚(さら)われて影なく、渡守りの姿も見えないっ・・・・! 流れはいよいよ、ふくれ上り、海のようになっているっ・・・・! メロスは川岸にうずくまり、男泣きに泣きながらゼウスに手を挙げて哀願したっ・・・・! 「ああ、鎮(しず)めたまえ、荒れ狂う流れを! 時は刻々に過ぎて行きますっ・・・・! 太陽も既に真昼時ですっ・・・・! あれが沈んでしまわぬうちに、王城に行き着くことが出来なかったら、あの佳い友達が、私のために死ぬのですっ・・・・! 」
 濁流は、メロスの叫びをせせら笑う如く、ますます激しく躍り狂うっ・・・・! 浪は浪を呑み、捲き、煽(あお)り立て、そうして時は、刻一刻と消えて行くっ・・・・! 今はメロスも覚悟したっ・・・・! 泳ぎ切るより他に無いっ・・・・! ああ、神々も照覧あれ! 濁流にも負けぬ愛と誠の偉大な力を、いまこそ発揮して見せるっ・・・・! メロスは、ざんぶと流れに飛び込み、百匹の大蛇のようにのた打ち荒れ狂う浪を相手に、必死の闘争を開始したっ・・・・! 満身の力を腕にこめて、押し寄せ渦巻き引きずる流れを、なんのこれしきと掻(か)きわけ掻きわけ、めくらめっぽう獅子奮迅の人の子の姿には、神も哀れと思ったか、ついに憐愍(れんびん)を垂れてくれたっ・・・・! 押し流されつつも、見事、対岸の樹木の幹に、すがりつく事が出来たのであるっ・・・・! ありがたいっ・・・・! メロスは馬のように大きな胴震いを一つして、すぐにまた先きを急いだっ・・・・! 一刻といえども、むだには出来ないっ・・・・! 陽は既に西に傾きかけているっ・・・・! ぜいぜい荒い呼吸をしながら峠をのぼり、のぼり切って、ほっとした時、突然、目の前に一隊の山賊が躍り出たっ・・・・!
「待てっ・・・・! 」
「何をするのだっ・・・・! 私は陽の沈まぬうちに王城へ行かなければならぬっ・・・・! 放せっ・・・・! 」
「どっこい放さぬっ・・・・! 持ちもの全部を置いて行けっ・・・・! 」
「私にはいのちの他には何も無いっ・・・・! その、たった一つの命も、これから王にくれてやるのだっ・・・・! 」
「その、いのちが欲しいのだっ・・・・! 」
「さては、王の命令で、ここで私を待ち伏せしていたのだなっ・・・・! 」
 山賊たちは、ものも言わず一斉に棍棒(こんぼう)を振り挙げたっ・・・・! メロスはひょいと、からだを折り曲げ、飛鳥の如く身近かの一人に襲いかかり、その棍棒を奪い取って、
「気の毒だが正義のためだ!」と猛然一撃、たちまち、三人を殴り倒し、残る者のひるむ隙(すき)に、さっさと走って峠を下ったっ・・・・! 一気に峠を駈け降りたが、流石(さすが)に疲労し、折から午後の灼熱(しゃくねつ)の太陽がまともに、かっと照って来て、メロスは幾度となく眩暈(めまい)を感じ、これではならぬ、と気を取り直しては、よろよろ二、三歩あるいて、ついに、がくりと膝を折ったっ・・・・! 立ち上る事が出来ぬのだっ・・・・! 天を仰いで、くやし泣きに泣き出したっ・・・・! ああ、あ、濁流を泳ぎ切り、山賊を三人も撃ち倒し韋駄天(いだてん)、ここまで突破して来たメロスよっ・・・・! 真の勇者、メロスよっ・・・・! 今、ここで、疲れ切って動けなくなるとは情無いっ・・・・! 愛する友は、おまえを信じたばかりに、やがて殺されなければならぬっ・・・・! おまえは、稀代(きたい)の不信の人間、まさしく王の思う壺(つぼ)だぞ、と自分を叱ってみるのだが、全身萎(な)えて、もはや芋虫(いもむし)ほどにも前進かなわぬっ・・・・! 路傍の草原にごろりと寝ころがったっ・・・・! 身体疲労すれば、精神も共にやられるっ・・・・! もう、どうでもいいという、勇者に不似合いな不貞腐(ふてくさ)れた根性が、心の隅に巣喰ったっ・・・・! 私は、これほど努力したのだっ・・・・! 約束を破る心は、みじんも無かったっ・・・・! 神も照覧、私は精一ぱいに努めて来たのだっ・・・・! 動けなくなるまで走って来たのだっ・・・・! 私は不信の徒では無いっ・・・・! ああ、できる事なら私の胸を截(た)ち割って、真紅の心臓をお目に掛けたいっ・・・・! 愛と信実の血液だけで動いているこの心臓を見せてやりたいっ・・・・! けれども私は、この大事な時に、精も根も尽きたのだっ・・・・! 私は、よくよく不幸な男だっ・・・・! 私は、きっと笑われるっ・・・・! 私の一家も笑われるっ・・・・! 私は友を欺(あざむ)いたっ・・・・! 中途で倒れるのは、はじめから何もしないのと同じ事だっ・・・・! ああ、もう、どうでもいいっ・・・・! これが、私の定った運命なのかも知れないっ・・・・! セリヌンティウスよ、ゆるしてくれっ・・・・! 君は、いつでも私を信じたっ・・・・! 私も君を、欺かなかったっ・・・・! 私たちは、本当に佳い友と友であったのだっ・・・・! いちどだって、暗い疑惑の雲を、お互い胸に宿したことは無かったっ・・・・! いまだって、君は私を無心に待っているだろうっ・・・・! ああ、待っているだろうっ・・・・! ありがとう、セリヌンティウスっ・・・・! よくも私を信じてくれたっ・・・・! それを思えば、たまらないっ・・・・! 友と友の間の信実は、この世で一ばん誇るべき宝なのだからなっ・・・・! セリヌンティウス、私は走ったのだっ・・・・! 君を欺くつもりは、みじんも無かったっ・・・・! 信じてくれ! 私は急ぎに急いでここまで来たのだっ・・・・! 濁流を突破したっ・・・・! 山賊の囲みからも、するりと抜けて一気に峠を駈け降りて来たのだっ・・・・! 私だから、出来たのだよっ・・・・! ああ、この上、私に望み給うなっ・・・・! 放って置いてくれっ・・・・! どうでも、いいのだっ・・・・! 私は負けたのだっ・・・・! だらしが無いっ・・・・! 笑ってくれっ・・・・! 王は私に、ちょっとおくれて来い、と耳打ちしたっ・・・・! おくれたら、身代りを殺して、私を助けてくれると約束したっ・・・・! 私は王の卑劣を憎んだっ・・・・! けれども、今になってみると、私は王の言うままになっているっ・・・・! 私は、おくれて行くだろうっ・・・・! 王は、ひとり合点して私を笑い、そうして事も無く私を放免するだろうっ・・・・! そうなったら、私は、死ぬよりつらいっ・・・・! 私は、永遠に裏切者だっ・・・・! 地上で最も、不名誉の人種だっ・・・・! セリヌンティウスよ、私も死ぬぞっ・・・・! 君と一緒に死なせてくれっ・・・・! 君だけは私を信じてくれるにちがい無いっ・・・・! いや、それも私の、ひとりよがりか? ああ、もういっそ、悪徳者として生き伸びてやろうかっ・・・・! 村には私の家が在るっ・・・・! 羊も居るっ・・・・! 妹夫婦は、まさか私を村から追い出すような事はしないだろうっ・・・・! 正義だの、信実だの、愛だの、考えてみれば、くだらないっ・・・・! 人を殺して自分が生きるっ・・・・! それが人間世界の定法ではなかったかっ・・・・! ああ、何もかも、ばかばかしいっ・・・・! 私は、醜い裏切り者だっ・・・・! どうとも、勝手にするがよいっ・・・・! やんぬる哉(かな)っ・・・・! ――四肢を投げ出して、うとうと、まどろんでしまったっ・・・・!
 ふと耳に、潺々(せんせん)、水の流れる音が聞えたっ・・・・! そっと頭をもたげ、息を呑んで耳をすましたっ・・・・! すぐ足もとで、水が流れているらしいっ・・・・! よろよろ起き上って、見ると、岩の裂目から滾々(こんこん)と、何か小さく囁(ささや)きながら清水が湧き出ているのであるっ・・・・! その泉に吸い込まれるようにメロスは身をかがめたっ・・・・! 水を両手で掬(すく)って、一くち飲んだっ・・・・! ほうと長い溜息が出て、夢から覚めたような気がしたっ・・・・! 歩けるっ・・・・! 行こうっ・・・・! 肉体の疲労恢復(かいふく)と共に、わずかながら希望が生れたっ・・・・! 義務遂行の希望であるっ・・・・! わが身を殺して、名誉を守る希望であるっ・・・・! 斜陽は赤い光を、樹々の葉に投じ、葉も枝も燃えるばかりに輝いているっ・・・・! 日没までには、まだ間があるっ・・・・! 私を、待っている人があるのだっ・・・・! 少しも疑わず、静かに期待してくれている人があるのだっ・・・・! 私は、信じられているっ・・・・! 私の命なぞは、問題ではないっ・・・・! 死んでお詫び、などと気のいい事は言って居られぬっ・・・・! 私は、信頼に報いなければならぬっ・・・・! いまはただその一事だっ・・・・! 走れ! メロスっ・・・・!
 私は信頼されているっ・・・・! 私は信頼されているっ・・・・! 先刻の、あの悪魔の囁きは、あれは夢だっ・・・・! 悪い夢だっ・・・・! 忘れてしまえっ・・・・! 五臓が疲れているときは、ふいとあんな悪い夢を見るものだっ・・・・! メロス、おまえの恥ではないっ・・・・! やはり、おまえは真の勇者だっ・・・・! 再び立って走れるようになったではないかっ・・・・! ありがたい!走れメロス
太宰
 

(無題)

 投稿者:ぶbsくぶぶsんx  投稿日:2008年 6月 1日(日)07時56分4秒
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(無題)  投稿者:ぶbsくぶぶsんx  投稿日:2008年 5月31日(土)17時07分7秒    返信・引用
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(無題)

 投稿者:ぶbsくぶぶsんx  投稿日:2008年 5月31日(土)17時07分7秒
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  ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ  

(無題)

 投稿者:ぶbsくぶぶsんx  投稿日:2008年 5月31日(土)17時03分36秒
返信・引用
  走れメロス
太宰治



 メロスは激怒したっ・・・・! 必ず、かの邪智暴虐(じゃちぼうぎゃく)の王を除かなければならぬと決意したっ・・・・! メロスには政治がわからぬっ・・・・! メロスは、村の牧人であるっ・・・・! 笛を吹き、羊と遊んで暮して来たっ・・・・! けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であったっ・・・・! きょう未明メロスは村を出発し、野を越え山越え、十里はなれた此(こ)のシラクスの市にやって来たっ・・・・! メロスには父も、母も無いっ・・・・! 女房も無いっ・・・・! 十六の、内気な妹と二人暮しだっ・・・・! この妹は、村の或る律気な一牧人を、近々、花婿(はなむこ)として迎える事になっていたっ・・・・! 結婚式も間近かなのであるっ・・・・! メロスは、それゆえ、花嫁の衣裳やら祝宴の御馳走やらを買いに、はるばる市にやって来たのだっ・・・・! 先ず、その品々を買い集め、それから都の大路をぶらぶら歩いたっ・・・・! メロスには竹馬の友があったっ・・・・! セリヌンティウスであるっ・・・・! 今は此のシラクスの市で、石工をしているっ・・・・! その友を、これから訪ねてみるつもりなのだっ・・・・! 久しく逢わなかったのだから、訪ねて行くのが楽しみであるっ・・・・! 歩いているうちにメロスは、まちの様子を怪しく思ったっ・・・・! ひっそりしているっ・・・・! もう既に日も落ちて、まちの暗いのは当りまえだが、けれども、なんだか、夜のせいばかりでは無く、市全体が、やけに寂しいっ・・・・! のんきなメロスも、だんだん不安になって来たっ・・・・! 路で逢った若い衆をつかまえて、何かあったのか、二年まえに此の市に来たときは、夜でも皆が歌をうたって、まちは賑やかであった筈(はず)だが、と質問したっ・・・・! 若い衆は、首を振って答えなかったっ・・・・! しばらく歩いて老爺(ろうや)に逢い、こんどはもっと、語勢を強くして質問したっ・・・・! 老爺は答えなかったっ・・・・! メロスは両手で老爺のからだをゆすぶって質問を重ねたっ・・・・! 老爺は、あたりをはばかる低声で、わずか答えたっ・・・・!
「王様は、人を殺しますっ・・・・! 」
「なぜ殺すのだっ・・・・! 」
「悪心を抱いている、というのですが、誰もそんな、悪心を持っては居りませぬっ・・・・! 」
「たくさんの人を殺したのかっ・・・・! 」
「はい、はじめは王様の妹婿さまをっ・・・・! それから、御自身のお世嗣(よつぎ)をっ・・・・! それから、妹さまをっ・・・・! それから、妹さまの御子さまをっ・・・・! それから、皇后さまをっ・・・・! それから、賢臣のアレキス様をっ・・・・! 」
「おどろいたっ・・・・! 国王は乱心かっ・・・・! 」
「いいえ、乱心ではございませぬっ・・・・! 人を、信ずる事が出来ぬ、というのですっ・・・・! このごろは、臣下の心をも、お疑いになり、少しく派手な暮しをしている者には、人質ひとりずつ差し出すことを命じて居りますっ・・・・! 御命令を拒めば十字架にかけられて、殺されますっ・・・・! きょうは、六人殺されましたっ・・・・! 」
 聞いて、メロスは激怒したっ・・・・! 「呆(あき)れた王だっ・・・・! 生かして置けぬっ・・・・! 」
 メロスは、単純な男であったっ・・・・! 買い物を、背負ったままで、のそのそ王城にはいって行ったっ・・・・! たちまち彼は、巡邏(じゅんら)の警吏に捕縛されたっ・・・・! 調べられて、メロスの懐中からは短剣が出て来たので、騒ぎが大きくなってしまったっ・・・・! メロスは、王の前に引き出されたっ・・・・!
「この短刀で何をするつもりであったかっ・・・・! 言え!」暴君ディオニスは静かに、けれども威厳を以(もっ)て問いつめたっ・・・・! その王の顔は蒼白(そうはく)で、眉間(みけん)の皺(しわ)は、刻み込まれたように深かったっ・・・・!
「市を暴君の手から救うのだっ・・・・! 」とメロスは悪びれずに答えたっ・・・・!
「おまえがか?」王は、憫笑(びんしょう)したっ・・・・! 「仕方の無いやつじゃっ・・・・! おまえには、わしの孤独がわからぬっ・・・・! 」
「言うな!」とメロスは、いきり立って反駁(はんばく)したっ・・・・! 「人の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳だっ・・・・! 王は、民の忠誠をさえ疑って居られるっ・・・・! 」
「疑うのが、正当の心構えなのだと、わしに教えてくれたのは、おまえたちだっ・・・・! 人の心は、あてにならないっ・・・・! 人間は、もともと私慾のかたまりさっ・・・・! 信じては、ならぬっ・・・・! 」暴君は落着いて呟(つぶや)き、ほっと溜息(ためいき)をついたっ・・・・! 「わしだって、平和を望んでいるのだがっ・・・・! 」
「なんの為の平和だっ・・・・! 自分の地位を守る為かっ・・・・! 」こんどはメロスが嘲笑したっ・・・・! 「罪の無い人を殺して、何が平和だっ・・・・! 」
「だまれ、下賤(げせん)の者っ・・・・! 」王は、さっと顔を挙げて報いたっ・・・・! 「口では、どんな清らかな事でも言えるっ・・・・! わしには、人の腹綿の奥底が見え透いてならぬっ・・・・! おまえだって、いまに、磔(はりつけ)になってから、泣いて詫(わ)びたって聞かぬぞっ・・・・! 」
「ああ、王は悧巧(りこう)だっ・・・・! 自惚(うぬぼ)れているがよいっ・・・・! 私は、ちゃんと死ぬる覚悟で居るのにっ・・・・! 命乞いなど決してしないっ・・・・! ただ、――」と言いかけて、メロスは足もとに視線を落し瞬時ためらい、「ただ、私に情をかけたいつもりなら、処刑までに三日間の日限を与えて下さいっ・・・・! たった一人の妹に、亭主を持たせてやりたいのですっ・・・・! 三日のうちに、私は村で結婚式を挙げさせ、必ず、ここへ帰って来ますっ・・・・! 」
「ばかなっ・・・・! 」と暴君は、嗄(しわが)れた声で低く笑ったっ・・・・! 「とんでもない嘘(うそ)を言うわいっ・・・・! 逃がした小鳥が帰って来るというのかっ・・・・! 」
「そうですっ・・・・! 帰って来るのですっ・・・・! 」メロスは必死で言い張ったっ・・・・! 「私は約束を守りますっ・・・・! 私を、三日間だけ許して下さいっ・・・・! 妹が、私の帰りを待っているのだっ・・・・! そんなに私を信じられないならば、よろしい、この市にセリヌンティウスという石工がいますっ・・・・! 私の無二の友人だっ・・・・! あれを、人質としてここに置いて行こうっ・・・・! 私が逃げてしまって、三日目の日暮まで、ここに帰って来なかったら、あの友人を絞め殺して下さいっ・・・・! たのむ、そうして下さいっ・・・・! 」
 それを聞いて王は、残虐な気持で、そっと北叟笑(ほくそえ)んだっ・・・・! 生意気なことを言うわいっ・・・・! どうせ帰って来ないにきまっているっ・・・・! この嘘つきに騙(だま)された振りして、放してやるのも面白いっ・・・・! そうして身代りの男を、三日目に殺してやるのも気味がいいっ・・・・! 人は、これだから信じられぬと、わしは悲しい顔して、その身代りの男を磔刑に処してやるのだっ・・・・! 世の中の、正直者とかいう奴輩(やつばら)にうんと見せつけてやりたいものさっ・・・・!
「願いを、聞いたっ・・・・! その身代りを呼ぶがよいっ・・・・! 三日目には日没までに帰って来いっ・・・・! おくれたら、その身代りを、きっと殺すぞっ・・・・! ちょっとおくれて来るがいいっ・・・・! おまえの罪は、永遠にゆるしてやろうぞっ・・・・! 」
「なに、何をおっしゃるっ・・・・! 」
「ははっ・・・・! いのちが大事だったら、おくれて来いっ・・・・! おまえの心は、わかっているぞっ・・・・! 」
 メロスは口惜しく、地団駄(じだんだ)踏んだっ・・・・! ものも言いたくなくなったっ・・・・!
 竹馬の友、セリヌンティウスは、深夜、王城に召されたっ・・・・! 暴君ディオニスの面前で、佳(よ)き友と佳き友は、二年ぶりで相逢うたっ・・・・! メロスは、友に一切の事情を語ったっ・・・・! セリヌンティウスは無言で首肯(うなず)き、メロスをひしと抱きしめたっ・・・・! 友と友の間は、それでよかったっ・・・・! セリヌンティウスは、縄打たれたっ・・・・! メロスは、すぐに出発したっ・・・・! 初夏、満天の星であるっ・・・・!
 メロスはその夜、一睡もせず十里の路を急ぎに急いで、村へ到着したのは、翌(あく)る日の午前、陽は既に高く昇って、村人たちは野に出て仕事をはじめていたっ・・・・! メロスの十六の妹も、きょうは兄の代りに羊群の番をしていたっ・・・・! よろめいて歩いて来る兄の、疲労困憊(こんぱい)の姿を見つけて驚いたっ・・・・! そうして、うるさく兄に質問を浴びせたっ・・・・!
「なんでも無いっ・・・・! 」メロスは無理に笑おうと努めたっ・・・・! 「市に用事を残して来たっ・・・・! またすぐ市に行かなければならぬっ・・・・! あす、おまえの結婚式を挙げるっ・・・・! 早いほうがよかろうっ・・・・! 」
 妹は頬をあからめたっ・・・・!
「うれしいかっ・・・・! 綺麗(きれい)な衣裳も買って来たっ・・・・! さあ、これから行って、村の人たちに知らせて来いっ・・・・! 結婚式は、あすだとっ・・・・! 」
 メロスは、また、よろよろと歩き出し、家へ帰って神々の祭壇を飾り、祝宴の席を調え、間もなく床に倒れ伏し、呼吸もせぬくらいの深い眠りに落ちてしまったっ・・・・!
 眼が覚めたのは夜だったっ・・・・! メロスは起きてすぐ、花婿の家を訪れたっ・・・・! そうして、少し事情があるから、結婚式を明日にしてくれ、と頼んだっ・・・・! 婿の牧人は驚き、それはいけない、こちらには未だ何の仕度も出来ていない、葡萄(ぶどう)の季節まで待ってくれ、と答えたっ・・・・! メロスは、待つことは出来ぬ、どうか明日にしてくれ給え、と更に押してたのんだっ・・・・! 婿の牧人も頑強であったっ・・・・! なかなか承諾してくれないっ・・・・! 夜明けまで議論をつづけて、やっと、どうにか婿をなだめ、すかして、説き伏せたっ・・・・! 結婚式は、真昼に行われたっ・・・・! 新郎新婦の、神々への宣誓が済んだころ、黒雲が空を覆い、ぽつりぽつり雨が降り出し、やがて車軸を流すような大雨となったっ・・・・! 祝宴に列席していた村人たちは、何か不吉なものを感じたが、それでも、めいめい気持を引きたて、狭い家の中で、むんむん蒸し暑いのも怺(こら)え、陽気に歌をうたい、手を拍(う)ったっ・・・・! メロスも、満面に喜色を湛(たた)え、しばらくは、王とのあの約束をさえ忘れていたっ・・・・! 祝宴は、夜に入っていよいよ乱れ華やかになり、人々は、外の豪雨を全く気にしなくなったっ・・・・! メロスは、一生このままここにいたい、と思ったっ・・・・! この佳い人たちと生涯暮して行きたいと願ったが、いまは、自分のからだで、自分のものでは無いっ・・・・! ままならぬ事であるっ・・・・! メロスは、わが身に鞭打ち、ついに出発を決意したっ・・・・! あすの日没までには、まだ十分の時が在るっ・・・・! ちょっと一眠りして、それからすぐに出発しよう、と考えたっ・・・・! その頃には、雨も小降りになっていようっ・・・・! 少しでも永くこの家に愚図愚図とどまっていたかったっ・・・・! メロスほどの男にも、やはり未練の情というものは在るっ・・・・! 今宵呆然、歓喜に酔っているらしい花嫁に近寄り、
「おめでとうっ・・・・! 私は疲れてしまったから、ちょっとご免こうむって眠りたいっ・・・・! 眼が覚めたら、すぐに市に出かけるっ・・・・! 大切な用事があるのだっ・・・・! 私がいなくても、もうおまえには優しい亭主があるのだから、決して寂しい事は無いっ・・・・! おまえの兄の、一ばんきらいなものは、人を疑う事と、それから、嘘をつく事だっ・・・・! おまえも、それは、知っているねっ・・・・! 亭主との間に、どんな秘密でも作ってはならぬっ・・・・! おまえに言いたいのは、それだけだっ・・・・! おまえの兄は、たぶん偉い男なのだから、おまえもその誇りを持っていろっ・・・・! 」
 花嫁は、夢見心地で首肯(うなず)いたっ・・・・! メロスは、それから花婿の肩をたたいて、
「仕度の無いのはお互さまさっ・・・・! 私の家にも、宝といっては、妹と羊だけだっ・・・・! 他には、何も無いっ・・・・! 全部あげようっ・・・・! もう一つ、メロスの弟になったことを誇ってくれっ・・・・! 」
 花婿は揉(も)み手して、てれていたっ・・・・! メロスは笑って村人たちにも会釈(えしゃく)して、宴席から立ち去り、羊小屋にもぐり込んで、死んだように深く眠ったっ・・・・!
 眼が覚めたのは翌る日の薄明の頃であるっ・・・・! メロスは跳ね起き、南無三、寝過したか、いや、まだまだ大丈夫、これからすぐに出発すれば、約束の刻限までには十分間に合うっ・・・・! きょうは是非とも、あの王に、人の信実の存するところを見せてやろうっ・・・・! そうして笑って磔の台に上ってやるっ・・・・! メロスは、悠々と身仕度をはじめたっ・・・・! 雨も、いくぶん小降りになっている様子であるっ・・・・! 身仕度は出来たっ・・・・! さて、メロスは、ぶるんと両腕を大きく振って、雨中、矢の如く走り出たっ・・・・!
 私は、今宵、殺されるっ・・・・! 殺される為に走るのだっ・・・・! 身代りの友を救う為に走るのだっ・・・・! 王の奸佞(かんねい)邪智を打ち破る為に走るのだっ・・・・! 走らなければならぬっ・・・・! そうして、私は殺されるっ・・・・! 若い時から名誉を守れっ・・・・! さらば、ふるさとっ・・・・! 若いメロスは、つらかったっ・・・・! 幾度か、立ちどまりそうになったっ・・・・! えい、えいと大声挙げて自身を叱りながら走ったっ・・・・! 村を出て、野を横切り、森をくぐり抜け、隣村に着いた頃には、雨も止(や)み、日は高く昇って、そろそろ暑くなって来たっ・・・・! メロスは額(ひたい)の汗をこぶしで払い、ここまで来れば大丈夫、もはや故郷への未練は無いっ・・・・! 妹たちは、きっと佳い夫婦になるだろうっ・・・・! 私には、いま、なんの気がかりも無い筈だっ・・・・! まっすぐに王城に行き着けば、それでよいのだっ・・・・! そんなに急ぐ必要も無いっ・・・・! ゆっくり歩こう、と持ちまえの呑気(のんき)さを取り返し、好きな小歌をいい声で歌い出したっ・・・・! ぶらぶら歩いて二里行き三里行き、そろそろ全里程の半ばに到達した頃、降って湧(わ)いた災難、メロスの足は、はたと、とまったっ・・・・! 見よ、前方の川をっ・・・・! きのうの豪雨で山の水源地は氾濫(はんらん)し、濁流滔々(とうとう)と下流に集り、猛勢一挙に橋を破壊し、どうどうと響きをあげる激流が、木葉微塵(こっぱみじん)に橋桁(はしげた)を跳ね飛ばしていたっ・・・・! 彼は茫然と、立ちすくんだっ・・・・! あちこちと眺めまわし、また、声を限りに呼びたててみたが、繋舟(けいしゅう)は残らず浪に浚(さら)われて影なく、渡守りの姿も見えないっ・・・・! 流れはいよいよ、ふくれ上り、海のようになっているっ・・・・! メロスは川岸にうずくまり、男泣きに泣きながらゼウスに手を挙げて哀願したっ・・・・! 「ああ、鎮(しず)めたまえ、荒れ狂う流れを! 時は刻々に過ぎて行きますっ・・・・! 太陽も既に真昼時ですっ・・・・! あれが沈んでしまわぬうちに、王城に行き着くことが出来なかったら、あの佳い友達が、私のために死ぬのですっ・・・・! 」
 濁流は、メロスの叫びをせせら笑う如く、ますます激しく躍り狂うっ・・・・! 浪は浪を呑み、捲き、煽(あお)り立て、そうして時は、刻一刻と消えて行くっ・・・・! 今はメロスも覚悟したっ・・・・! 泳ぎ切るより他に無いっ・・・・! ああ、神々も照覧あれ! 濁流にも負けぬ愛と誠の偉大な力を、いまこそ発揮して見せるっ・・・・! メロスは、ざんぶと流れに飛び込み、百匹の大蛇のようにのた打ち荒れ狂う浪を相手に、必死の闘争を開始したっ・・・・! 満身の力を腕にこめて、押し寄せ渦巻き引きずる流れを、なんのこれしきと掻(か)きわけ掻きわけ、めくらめっぽう獅子奮迅の人の子の姿には、神も哀れと思ったか、ついに憐愍(れんびん)を垂れてくれたっ・・・・! 押し流されつつも、見事、対岸の樹木の幹に、すがりつく事が出来たのであるっ・・・・! ありがたいっ・・・・! メロスは馬のように大きな胴震いを一つして、すぐにまた先きを急いだっ・・・・! 一刻といえども、むだには出来ないっ・・・・! 陽は既に西に傾きかけているっ・・・・! ぜいぜい荒い呼吸をしながら峠をのぼり、のぼり切って、ほっとした時、突然、目の前に一隊の山賊が躍り出たっ・・・・!
「待てっ・・・・! 」
「何をするのだっ・・・・! 私は陽の沈まぬうちに王城へ行かなければならぬっ・・・・! 放せっ・・・・! 」
「どっこい放さぬっ・・・・! 持ちもの全部を置いて行けっ・・・・! 」
「私にはいのちの他には何も無いっ・・・・! その、たった一つの命も、これから王にくれてやるのだっ・・・・! 」
「その、いのちが欲しいのだっ・・・・! 」
「さては、王の命令で、ここで私を待ち伏せしていたのだなっ・・・・! 」
 山賊たちは、ものも言わず一斉に棍棒(こんぼう)を振り挙げたっ・・・・! メロスはひょいと、からだを折り曲げ、飛鳥の如く身近かの一人に襲いかかり、その棍棒を奪い取って、
「気の毒だが正義のためだ!」と猛然一撃、たちまち、三人を殴り倒し、残る者のひるむ隙(すき)に、さっさと走って峠を下ったっ・・・・! 一気に峠を駈け降りたが、流石(さすが)に疲労し、折から午後の灼熱(しゃくねつ)の太陽がまともに、かっと照って来て、メロスは幾度となく眩暈(めまい)を感じ、これではならぬ、と気を取り直しては、よろよろ二、三歩あるいて、ついに、がくりと膝を折ったっ・・・・! 立ち上る事が出来ぬのだっ・・・・! 天を仰いで、くやし泣きに泣き出したっ・・・・! ああ、あ、濁流を泳ぎ切り、山賊を三人も撃ち倒し韋駄天(いだてん)、ここまで突破して来たメロスよっ・・・・! 真の勇者、メロスよっ・・・・! 今、ここで、疲れ切って動けなくなるとは情無いっ・・・・! 愛する友は、おまえを信じたばかりに、やがて殺されなければならぬっ・・・・! おまえは、稀代(きたい)の不信の人間、まさしく王の思う壺(つぼ)だぞ、と自分を叱ってみるのだが、全身萎(な)えて、もはや芋虫(いもむし)ほどにも前進かなわぬっ・・・・! 路傍の草原にごろりと寝ころがったっ・・・・! 身体疲労すれば、精神も共にやられるっ・・・・! もう、どうでもいいという、勇者に不似合いな不貞腐(ふてくさ)れた根性が、心の隅に巣喰ったっ・・・・! 私は、これほど努力したのだっ・・・・! 約束を破る心は、みじんも無かったっ・・・・! 神も照覧、私は精一ぱいに努めて来たのだっ・・・・! 動けなくなるまで走って来たのだっ・・・・! 私は不信の徒では無いっ・・・・! ああ、できる事なら私の胸を截(た)ち割って、真紅の心臓をお目に掛けたいっ・・・・! 愛と信実の血液だけで動いているこの心臓を見せてやりたいっ・・・・! けれども私は、この大事な時に、精も根も尽きたのだっ・・・・! 私は、よくよく不幸な男だっ・・・・! 私は、きっと笑われるっ・・・・! 私の一家も笑われるっ・・・・! 私は友を欺(あざむ)いたっ・・・・! 中途で倒れるのは、はじめから何もしないのと同じ事だっ・・・・! ああ、もう、どうでもいいっ・・・・! これが、私の定った運命なのかも知れないっ・・・・! セリヌンティウスよ、ゆるしてくれっ・・・・! 君は、いつでも私を信じたっ・・・・! 私も君を、欺かなかったっ・・・・! 私たちは、本当に佳い友と友であったのだっ・・・・! いちどだって、暗い疑惑の雲を、お互い胸に宿したことは無かったっ・・・・! いまだって、君は私を無心に待っているだろうっ・・・・! ああ、待っているだろうっ・・・・! ありがとう、セリヌンティウスっ・・・・! よくも私を信じてくれたっ・・・・! それを思えば、たまらないっ・・・・! 友と友の間の信実は、この世で一ばん誇るべき宝なのだからなっ・・・・! セリヌンティウス、私は走ったのだっ・・・・! 君を欺くつもりは、みじんも無かったっ・・・・! 信じてくれ! 私は急ぎに急いでここまで来たのだっ・・・・! 濁流を突破したっ・・・・! 山賊の囲みからも、するりと抜けて一気に峠を駈け降りて来たのだっ・・・・! 私だから、出来たのだよっ・・・・! ああ、この上、私に望み給うなっ・・・・! 放って置いてくれっ・・・・! どうでも、いいのだっ・・・・! 私は負けたのだっ・・・・! だらしが無いっ・・・・! 笑ってくれっ・・・・! 王は私に、ちょっとおくれて来い、と耳打ちしたっ・・・・! おくれたら、身代りを殺して、私を助けてくれると約束したっ・・・・! 私は王の卑劣を憎んだっ・・・・! けれども、今になってみると、私は王の言うままになっているっ・・・・! 私は、おくれて行くだろうっ・・・・! 王は、ひとり合点して私を笑い、そうして事も無く私を放免するだろうっ・・・・! そうなったら、私は、死ぬよりつらいっ・・・・! 私は、永遠に裏切者だっ・・・・! 地上で最も、不名誉の人種だっ・・・・! セリヌンティウスよ、私も死ぬぞっ・・・・! 君と一緒に死なせてくれっ・・・・! 君だけは私を信じてくれるにちがい無いっ・・・・! いや、それも私の、ひとりよがりか? ああ、もういっそ、悪徳者として生き伸びてやろうかっ・・・・! 村には私の家が在るっ・・・・! 羊も居るっ・・・・! 妹夫婦は、まさか私を村から追い出すような事はしないだろうっ・・・・! 正義だの、信実だの、愛だの、考えてみれば、くだらないっ・・・・! 人を殺して自分が生きるっ・・・・! それが人間世界の定法ではなかったかっ・・・・! ああ、何もかも、ばかばかしいっ・・・・! 私は、醜い裏切り者だっ・・・・! どうとも、勝手にするがよいっ・・・・! やんぬる哉(かな)っ・・・・! ――四肢を投げ出して、うとうと、まどろんでしまったっ・・・・!
 ふと耳に、潺々(せんせん)、水の流れる音が聞えたっ・・・・! そっと頭をもたげ、息を呑んで耳をすましたっ・・・・! すぐ足もとで、水が流れているらしいっ・・・・! よろよろ起き上って、見ると、岩の裂目から滾々(こんこん)と、何か小さく囁(ささや)きながら清水が湧き出ているのであるっ・・・・! その泉に吸い込まれるようにメロスは身をかがめたっ・・・・! 水を両手で掬(すく)って、一くち飲んだっ・・・・! ほうと長い溜息が出て、夢から覚めたような気がしたっ・・・・! 歩けるっ・・・・! 行こうっ・・・・! 肉体の疲労恢復(かいふく)と共に、わずかながら希望が生れたっ・・・・! 義務遂行の希望であるっ・・・・! わが身を殺して、名誉を守る希望であるっ・・・・! 斜陽は赤い光を、樹々の葉に投じ、葉も枝も燃えるばかりに輝いているっ・・・・! 日没までには、まだ間があるっ・・・・! 私を、待っている人があるのだっ・・・・! 少しも疑わず、静かに期待してくれている人があるのだっ・・・・! 私は、信じられているっ・・・・! 私の命なぞは、問題ではないっ・・・・! 死んでお詫び、などと気のいい事は言って居られぬっ・・・・! 私は、信頼に報いなければならぬっ・・・・! いまはただその一事だっ・・・・! 走れ! メロスっ・・・・!
 私は信頼されているっ・・・・! 私は信頼されているっ・・・・! 先刻の、あの悪魔の囁きは、あれは夢だっ・・・・! 悪い夢だっ・・・・! 忘れてしまえっ・・・・! 五臓が疲れているときは、ふいとあんな悪い夢を見るものだっ・・・・! メロス、おまえの恥ではないっ・・・・! やはり、おまえは真の勇者だっ・・・・! 再び立って走れるようになったではないかっ・・・・! ありがたい!
 

(無題)

 投稿者:メロンソーダ  投稿日:2008年 5月15日(木)22時32分18秒
返信・引用
  昨日の午後7時25分頃、横川駅でYoと電車を待っている時に、
N田先生とO久保先生がふたりっきりでいた。
N田先生は荷物を持っていなかった!(持たせているのか…そうだったら男性として最悪だな…)
 

(無題)

 投稿者:RD  投稿日:2008年 5月10日(土)21時05分10秒
返信・引用
  ??  

(無題)

 投稿者:RD  投稿日:2008年 5月 7日(水)21時03分16秒
返信・引用
  あんたこそ誰だよ  

(無題)

 投稿者:メロンパン  投稿日:2008年 5月 6日(火)13時41分27秒
返信・引用 編集済
  まず、Your name please.  

(無題)

 投稿者:RD  投稿日:2008年 5月 5日(月)22時06分3秒
返信・引用
  そうじゃなくて…

クラスとかは?
 

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