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もう、春ですね(*^^*)

 投稿者:あんみつ姫  投稿日:2013年 3月 3日(日)11時47分6秒
  小説の部屋で小説読んでいます。
今、南木佳士「陽子の一日」
 
 

足跡

 投稿者:あんみつ  投稿日:2012年 8月26日(日)11時04分19秒
  残しておきます。  

赤ちょうちん・その14

 投稿者:あんみつ姫  投稿日:2009年 9月16日(水)13時49分19秒
  祖母から追加の電話がなったのは明くる日だった
すでに旬は電車に乗って葬儀の場所へ向っていた
電話をとったのは父であった
「はい、笹野です」
「旬、場所わかるかい?」
「場所?」
「あっ、旬では?」
「失礼ですが、どちら様でしょう?」
「失礼しました。旬に母親の葬儀の場所の確認を・・・」
「美知のお母さんですか?美知が?」
「雄一さんですね。実は、美知が急に逝ってしまいまして、夕べ旬にその事の連絡をしました。雄一さんに連絡していいものか迷いまして、一先ず旬にだけはと思いました」
「そうですか。わかりました。僕も行かせてもらいます。」
「あの・・・ご迷惑でなければ、美知も喜びます。お待ちしています」
「葬儀はご自宅ででしょうか?」
「ええ、自宅です」
「了解いたしました」

その頃旬は、父母が別れてからは母方の祖父母の家には行っていなかった
長く長く・・・家にたどりつくまでは長く長く・・・
玄関前で旬は懐かしい祖父母の匂いと母の匂いを思い出した
「お母さん!」
こみあげる涙はすでに頬をつたい、玄関でたたずんで家の主を待った
「はい」
奥から聞こえてくるその声は、美鈴の声だった
奥からゆっくりと玄関に向ってその人は来た
黒に身を包んだ妹の姿だった
 

赤ちょうちん・その14

 投稿者:あんみつ姫  投稿日:2009年 9月16日(水)13時26分5秒
編集済
  (少し執筆活動を怠けていましたが、ふれあいさんとあほー松さんが読者様かな?
がんばって書きます)

ご期待を!!!・・・ドテッ!
 

 投稿者:あんみつ姫  投稿日:2009年 8月16日(日)22時34分44秒
  http://homepage3.nifty.com/sinbunyadou/midi/room6/midi_room6.htm  

赤ちょうちん・その13

 投稿者:あんみつ姫  投稿日:2009年 7月16日(木)22時11分38秒
  家に帰った旬を待っていたのは、玄関にぽつりと寂しく設置していた電話からの呼び出しだった。
このコールが、母のお帰り、お疲れ様なら、俺は幸せ者なんだけどなぁ~
受話器を取ったなり旬は凍りついた
母方の祖母からの電話だった
「旬、お母さんが亡くなったよ」
「え?何だって?」
実は母と息子である旬とのふれあいは、声のみであった
顔も知らされていない
父には内緒という約束で電話の交換は長くにわたってつづいていたのだ
携帯を持たない旬には、家電話にはかなり神経を使っていた
母は旬が小学校一年になってからの声と声との付き合い
仕事の合間をぬっていつも気にかけては電話をくれていた
妹がいるとは聞いていたけど、別に会いたいとも思っていなかった
しかし、歳を重ねるごとに、まだ見ぬ妹、そして、声でその愛を感じていた母に会いたいと思わぬ日はない
母はデザイナーとしてひとり立ちしていた
しかし、母方の家族の情報はまったく知らせてはくれなかった
父と母がどういう事で別れたのかは、知る由もない
しかし、なぜ、俺は、血の繋がった家族に会えないのかと、自分の運命を恨む事も時としてあった
再婚せず、男ふたりだけの家族なんて、なんの魅力もない
夕暮れ時に帰り着いた家は、誰も迎えのない、寂しいだけのものだった
恋しい母の死
祖母は電話で葬式には来いと言って来た
場所を確認して、明日、母の元へと・・・
父に言うべきか、自分ひとりで行くべきか、明日の準備を黙々としながら、旬は自分が哀れでならない
日暮れ時からおとこふたりの家を射す月の光が、ただ優しく、ただ優しく・・・だった
 

赤ちょうちん・その12

 投稿者:あんみつ姫  投稿日:2009年 7月10日(金)15時04分59秒
編集済
  (赤ちゃうちん・その10のデート場面でのつづき)

「ここではゆっくり出来ないね。場所決めようか?」旬は職場近くではどうも落ち着かない
「ええ、いいけど、近くに喫茶あるの?」
「美鈴ちゃん、知らない?」
「知らなくはないけど、ん~っ、そうだ!近くにあるある」
「ん?ある?じゃ~そこに行こう」
それぞれの自転車に飛び乗って、美鈴の誘導で、とある場所へと・・・?

場所へつくといきなり旬が声を出した
「えー!なんもないじゃん」
「あるじゃん」
「どこに?」
「椅子が」
「あははははは」旬の笑い声がだだっ広い公園に響いた
「なーんだ、ゆっくり出来るって、ここの事か」
「経済的、健康的、しかも・・・しかもですよ、牧歌的」
「それにしても、ジュースくらい買おうよ。買ってくるから、ここで待ってて」
「ええ、待ってる」
そこは美鈴が小さい頃に母に連れられてよくきた公園だった
周りを見渡しながら、小さい頃は自分の兄もいたんだけど、その兄も記憶から遠ざかってしまった。
母は父と別れてから、今に至って、思い出を捨て去って、ただ仕事に生きていた
父の事も兄の事も忘れたかったんだろう
祖父・祖母に守られて、母と美鈴は今までなんとか幸せに生きてきた
「会いたいなぁ。お兄さんに・・・」
「会いにきたよ」
「ん?」
「何を言ってたの?ひとり事聞いちゃったよ。お兄さんいるの?」
「あら?もうお帰りだったんだ。ええ、兄とは小さい頃別れ別れになっちゃって」
「そうか、どこかで美鈴ちゃんのお兄さんは元気にやっていると思うよ。男だからね」
「そうね、旬君、お兄さんみたいだね」
「いいよ、お兄さんになってあげる」
「ワォー!嬉しいよ」

公園からこだますように、ふたりの若者の声が響きあった
日暮れ時になって、その影は左右へと離れていった
 

赤ちょうちん・番外・登場人物

 投稿者:あんみつ姫  投稿日:2009年 7月 6日(月)22時36分46秒
  笹野旬⇒専門学校に行きながら学費はスーパーに勤めて賄っていた・父は旬が5歳の時に離婚

守口美鈴⇒専門学校で映像の勉強・母は美鈴が2歳の時に離婚・母方の祖父母に育てられる

葉山清⇒警察官・旬とは高校時代の親友・卒業と同時に警察官になり後東京勤務

青木先輩⇒来年卒業見込みで、就職も決まっている

森本由香⇒旬のアルバイトの後輩
 

赤ちょうちん・その11

 投稿者:あんみつ姫  投稿日:2009年 7月 4日(土)22時40分46秒
編集済
  旬がスーパーで立ち話をしていた女性はアルバイト仲間で前に関わった仕事の事での相談だった
忙しい時に妙な客に出くわす
特に父の日とか母の日とかの記念日が狙い目なのか事務所にもクレームの電話が頻繁になる
社員はそんな時の対応にはマニュアルがあるようだ
アルバイトにまでは詳しいマニュアルは伝わってこないけれど、最低限の対応は教育されていた
旬はクレームにどう対処していいかをよく相談される
今回も立ち話では事足りず、後日相談を受けると約束をした

時すでに灼熱の太陽がコンクリートから照り返し、汗を拭きながら急ぎ足で駆けていた

旬の父は旬が5歳の時に離婚
その相手は美鈴の・・・母であった・・・
 

赤ちょうちん・その10

 投稿者:あんみつ姫  投稿日:2009年 6月 1日(月)21時36分31秒
  美鈴は早めに終わったため、旬のアルバイト先のスーパーで待ちぼうけ
携帯も持たないふたりは、連絡さえ出来ずにそわそわの状態であった
スーパーの近くにある喫茶で待ち合わせすればよかったと後悔しきりの美鈴であった
今日の夕食の材料を母から頼まれていた事を思い出し、一先ず買い物をする事に決めた
「えーっと、薄力粉と強力粉、後、何だっけ?そうそう、挽肉って言っていたなぁ~合挽きだっけ?ハンバーグも我が家の定番。それから、卵だっけ?」
独り言をいいながら、買い物はスムーズに終わった
スーパーに設けてあるロッカーに荷物を預けて、待ち合わせ場所をふと見ると、旬が誰かと立ち話をしていた。
しばらく終わるのを待つ事にしたけれど、連れの女性はどこかで見た事のある・・・?
話が終わった様子を見計らって、美鈴は旬の後ろ側から声をかけた
「誰かさん?」
「ん?」
「だって、まだ、お互い名前知らないから・・・」
「そ、そ、そうだっけ?」
「私は守口美鈴」
「俺は笹野旬」
「旬君ね。かっこいい名前だね。」
「ありがとう。君だって、可愛い名だね。」
ふたりの影が長くなり、すでに夕焼けが青春を照らすかのような、そんな夕暮れ時であった
 

フォーク

 投稿者:あんみつ姫  投稿日:2009年 6月 1日(月)21時11分33秒
  http://ongakukan.music.coocan.jp/musicstudio/5-naha/mbokunomunedeoyasumi.html  

赤ちょうちん・その9

 投稿者:あんみつ姫  投稿日:2009年 6月 1日(月)00時48分24秒
編集済
  それから一週間が過ぎた
夏になるにはまだ早く、梅雨でじくじくの季節でも、それぞれに忙しく、旬は清へ電話する間もなかった
そんなある日の午後だった
アルバイトで疲れた身体で学校へと向かっていた旬の背中で覚えのある声が呼び止めた
「こんにちは」
美鈴だった
「お久しぶりです」
「しばらくここを離れて東京で過ごしていましたのよ」
「東京?ご親戚でも?」
「いいえ、ボランティァみたいな事しているんです」
「へえー、ボランティァされているの」
「それでね、あっちで危ない目にあっちゃって」
「危ない目って、事故にでも出くわしたのですか?」
「いいえ、そんなんじゃないんですけど、とにかく危なかったんです」
「今から授業なんで、じゃぁ~」
スーパー近くにあるバス停に着いた旬は、いきなりきた通学バスに飛び乗った
美鈴は話の続きを聞いてほしいのか、一緒にくっついてきたのであった
「あの・・・」
「私もこれで通学しているんですよ」
ころころ笑いながら美鈴は車内ではさっきとはまったく別の話題で旬を退屈させなかった
学校が引けたら旬のアルバイト先のスーパーで待ち合わせようと、一方的に約束させられた

夏を待つ海、静かに寄せ来る波のように、旬は期待と不安の心を交差させていた
 

赤ちょうちん・その8

 投稿者:あんみつ姫  投稿日:2009年 5月26日(火)23時56分54秒
編集済
  時計は午前8時
今日アルバイトは休みで学校も午後からだった
父は電話連絡するなり朝食も取らずに玄関のドアに向かっていた
夕べは雨だったんだ
「もしもし、あの・・・笹野旬です」
「僕だよ。清」
旬はいつも家出した母からかと電話がなる度にびくついていたのだった
高校を卒業して就職は東京勤務となった清からの電話だった
「介護学校がんばっているか?」
「おう、ありがとうね。学校は楽しいよ。実習なんかもあってね」
「学校は楽しいって、アルバイトはどうなんだ?大変だろうね。スーパーでの接客って想像しただけでもわかるよ。僕もクレーマーとか万引きとかでスーパーでも出入りしているよ」
「そうなんだ。で、一度手を汚したら元には戻れないのか?」
「そうだな、誰でもとっ捕まえたら、初めてですから見逃してと言われる。」
「わかるのか?初めてかどうかが。」
「わからないよ。けれど、スーパーの従業員は客の顔覚えているから、何人かは目星つけているらしい。」
お互いの仕事に共通点があるため、次々と話題が出てくるのであった

沖縄では梅雨入りがはじまったとニュースがテレビで流れていた
紫陽花の雨に濡れ、太陽が差し、色鮮やかに旬の目に入った
親友の清の爽やかな声とうまくマッチしていた、そんな朝のはじまりだった
 

赤ちょうちん・その7

 投稿者:あんみつ姫  投稿日:2009年 5月24日(日)22時03分45秒
編集済
  その頃、旬は、アルバイト先で小さいトラブルに巻き込まれていた
「すみません、お取替えいたしますから、少しお待ちください。」
「お取替えって、ここに同じ商品あるじゃん!」
「はい、少しお待ちください」
「何考えてるん?」
客が昨日買った食パンに小バエが入っていたとのクレームだった
接客をたまたま受けた旬は、一先ず主任の了解を取るべくバックへ走っていこうとしていた
しかし、食品に入った小バエをどう解釈していいか戸惑ったため、客を怒らせてしまったのだ
「いい、いい、食パン一斤位でこんな恥をかかされるなら、時間のロスもある上、頭にきちゃった。これを新聞社に書いてもらうよ」
いきなりびっくりした旬は、この場合はその場の商品を渡してしかるべきなのか
事後承諾という臨機応変な対応もあるにはあるのだけど、この客がクレームの常習犯の場合は取り返しがつかない結果になってしまう
旬の判断は正解だった
この人物は、かく支店で同じクレームをつけて、店側から現金を取っていた
主任からは「金銭が低かったから大事にはいたらなかったが、高額の場合を考えると、君の対応で正解だよ」

その日の旬は、帰宅するなりベッドに倒れるように夜中の2時まで深い眠りについたのであった
「おい!」
父に起こされるまではまったく自分が食事もせずだった事もわからなかった
「さっきから電話がなっているぞ。早くでなさい」
ふらふらしながら旬は電話口まで歩いて、受話器を取った
その人の声に思わずはっとして、父がいないかを慌てて確かめた

庭に咲いている紫陽花の紫が妙に切なかった・・・
 

赤ちょうちん・その6

 投稿者:あんみつ姫  投稿日:2009年 5月21日(木)17時22分36秒
編集済
  横付けになっていた怪しげな車も走り去り、美鈴は白け気味の雰囲気をどうしていいのか困ってしまった

その時の美鈴は、その青年が警察官だという事すら知らずにだった
「よかったですね。危なかったよ。僕がいなかったら、君は悪の餌食となったよ。」
「ありがとうございます。危機一髪でした。それにしても、地図を広げたこんな田舎者には、あんな人の狙い目になるんでしょうか?」
「そうじゃないと思うよ。田舎者には見えないよ。とにかく気をつけてね。じゃ~。」
「危ないところを助けていただき感謝します。お礼になんですけど、私映像の仕事しているんです。これ、前に中ノ島のバラ園で撮った映像なんですが、よかったらどうぞ。」
「君、カメラマンなの?」
「いいえ、ボランティァ的に映像の活動をしている者です。」
「そう、ありがとう。明日、勤務のための準備があるから、これで。」
「勤務?失礼ですが、お仕事は?」
青年は敬礼をして、爽やかな笑顔を残して駅へと去っていった

取り残された美鈴は、意味もわからずに突っ立っていた
青年の残した爽やかな風を胸いっぱいに吸って講演会の会場へと足を速める美鈴であった
 

赤ちょうちん・その5

 投稿者:あんみつ姫  投稿日:2009年 5月17日(日)21時25分17秒
編集済
  その頃、美鈴は、映像の仕事が入っていたので、遠路東京へと向かっていた
映像仲間から講演を依頼されていたのだった
ほとんどボランティァに近いこの活動は、親の援助も少しあり、自分のアルバイトだけでは賄えない状態であった
美鈴の母は、美鈴が2歳の時に離婚していて、母方の祖父と祖母に育てられた
兄は父方についたと聞いている
母は忙しく美鈴に構う事もなく、小さい頃から祖父の側で遊んでいた
祖父は映写機で昔の八ミリを見るのが趣味であった
その影響で美鈴は専門学校は祖父の影響を多大に受けていたのだった

東京に着いた美鈴は、講演会場を捜すべく最寄の駅で案内の封筒を開けて地図に目を通していた
「お嬢さん、道調べてるの?」
その声を聞くなり反射的に駅を飛び出した
一目散に走って、後ろを振り向いた
すると、横付けに近づいてくる車から、「お嬢さん、道わかる?」
さっきの男性の声に美鈴はぶるっときた
知らん顔をして向かいから歩いてきた貧相な青年にしがみついて「この人痴漢なの!」
きょとんとしたその人はその日は勤務明けの警察官だった
 

赤ちょうちん・その4

 投稿者:あんみつ姫  投稿日:2009年 5月15日(金)23時42分24秒
  それからしばらくはふたりの出会いもなく、それぞれに忙しい毎日を送っていた

旬は学校が引けて、いつもの赤ちょうちんで定食を食べていたら、後ろから慣れ親しんだ先輩の声に振り向いた
「おいおい、豪勢だな」
「あ、先輩」
来年卒業見込みで、就職も決まっている青木先輩だった
「ここで定食を食べるって、われわれ貧乏学生には憧れだよ~」
「今日バイト代入ったもんですから」
「まあ、遠慮なく食ってくれ」
遠慮なく・・・驕りでもなく・・・なのに・・・
「ありがとうございます」
変な挨拶をしながら、今日の科目の質問をしてみた
「青木先輩、今度実習に行くんですけど、ご家族があまり面会にみえない方への対応で一番気をつける事ってなんですか?」
「え?あははははは!この俺に聞いてどうすんの?来年卒業見込み、後、舞い戻り組の俺。わかんないよ。ん~少し考えてみようか?」
「お願いします」
「一番気をつける事か。自分がその身になると簡単にわかるんだけどね。頭で考える事と実習は違うしね。そうだな、答えは人それぞれで違うと思うんだ。だから、一番ってわけじゃないけど、ご家族がおみえにならない事を意識させない事と、君も意識しない事だと思うけど」
「なんとなくわかります。そんな感じでやってみます」
「そんな感じで頼むよ。」
赤ちょうちんから出た時はすでに外は雨上がりだった
 

赤ちょうちん・その3

 投稿者:あんみつ姫  投稿日:2009年 5月11日(月)09時32分35秒
編集済
  美鈴も専門学校で映像の勉強をしていた
見る物は全て被写体になる
旬に渡した野薔薇は、ふと見つけたのではあるが、あら?そう思ったのは、野薔薇は誰かが引きちぎって捨ててあるものであったのだ
かわいそうに、そう思って手にとってから、先日親切にしてもらった旬の事が脳裏を掠めた
こんなかわいいお花は、前に親切にしてもらった人の手に渡すのがベターではないかと思って、同じ時間帯なら逢えるのではないだろうかと推理したのだった
推理通りにその青年は袋にいっぱいのカップヌードルを抱えて店から出てきた
その野薔薇の映像も添えての事だった

旬は介護師を目指す専門学校に通っていた関係上、野薔薇と画像はホームへ持っていくことにした
それを伝えたら美鈴は思わぬ出来事が続いた事に心を明るくして、その瞳がキラキラしていた
野薔薇を受け取った旬と今から買い物へ行く美鈴は、その場を後にするのであった

旬と美鈴の共通点は、ふたりとも携帯電話を持っていなかったという事だった
 

赤ちょうちん・その2

 投稿者:あんみつ姫  投稿日:2009年 5月10日(日)20時02分4秒
編集済
  旬は専門学校に行きながら学費はスーパーに勤めて賄っていた
専門学校は大学以上に学費がかかり、とてもスーパーのアルバイトの収入だけではやっていけないが何とかやりくりをしてがんばった
朝スーパーの品だしが終わるのは午前10時過ぎ、それから学校へと飛んでいった
けれど、毎日が充実して、それにつれて自分に自信もでき、勉強もアルバイトも乗り乗りだった

ある日品出しが終わってその日の売り出しのカップラーメンの買いだめをして店を出ようとしたところ、いきなりぶつかってきた女性客がいた
「痛い!」女性の叫びが旬の耳を突いた
旬は頭からぶつかってきた女性に「大丈夫ですか?」
店を出ても自分は従業員だという自覚がいつもあって、つい常識的な振る舞いをする
「ごめんなさい、私からぶつかったんだから、謝んなくてもいいです。駐車場に車と停めたのはいいんだけど、いきなり犬に追っかけられちゃって。で、びっくりしてここまで突っ走っちゃって」
「そうなんですか。ここの警備員に知らせておきますね」
「ご親切にありがとうございます。では、よろしくお願いしますね。」
そういって二人は別れた。

数日が過ぎ、又、同じ曜日の同じ時間に品出しを終わった旬は、スーパーの出入り口近くに人を待っている風の女性を見た
旬を見つけたその人は、つかつかと駆け寄って「この前は助かりました。お礼をしなければと思いながら、つい、遅くなっちゃって」
「いいんですよ。俺、ここのスーパーの従業員ですから、当たり前なんですよ」
「そうなんですか。けれど、助かりました。これ」
恥ずかしそうに手渡したのは野薔薇であった

旬と美鈴の出会いはこんな風ではじまった
 

ようこそ!あんみつ姫のTHE小説の世界へ「赤ちょうちん」

 投稿者:あんみつ姫  投稿日:2009年 5月10日(日)10時23分40秒
編集済
  「赤ちょうちん」その1

*久しぶりの短編「赤ちょうちん」

その日は春も最終にかかっていた
桜も散る、恋の花も咲くと嬉しいけど、散るとただ空しさだけが心を征服する
旬は赤ちょうちんの前を通ると思い出す
あの日の事を・・・

「旬ちゃん、私ここで一度食事したい」
甘えるような声で美鈴は旬の耳元で囁く
「いいよ、俺いつもここで夕食とっているしね」
「そうなんだ・・・馴染みにしているんだね」
「うん」
旬は少し照れて赤ちょうちんの明かりをまぶしげにして、目を伏せた
店に入るなり美鈴は珍しげにあたりを見回したのだった
「おでんにラーメン、少し白ごはんも食べたいなぁ」
「おばちゃん、この子の注文お願いね」
「あいよ、かわいい彼女できたんだね。とびっきりご馳走食べさせてあげなよ」
美味しそうに食べる美鈴を見るだけで、旬は嬉しさがこみあげて、いつもの半分しか食べられなかった
「旬ちゃん、食べないの?」
美鈴は春の花にも勝る美しく輝く目で旬を見た

食事を食べ終えた二人は、しばらく今日一日の出来事を楽しく語り合ったが、美鈴は急にお腹を押さえて「お腹痛い!」
外に出て蹲ると、後を追って旬が「どうしたの?」

つづく・・・
 

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